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衛星から被災地観測 県がJAXAと協定

近い将来、発生が予想される東南海・南海地震など大規模災害に備え、和歌山県は宇宙航空研究開発機構(JAXA)と人工衛星の防災利用について実験協定を結んだ。衛星からの被災地観測データを、二次災害防止や早期復旧に役立てるのが狙い。今後は情報を蓄積し、活用法を研究する。
協定によると、災害発生時、県が被害が大きいと思われる地域の緊急撮影をJAXAに依頼。陸域観測技術衛星「だいち」が被災地を観測し、画像を解析して2日以内に県に提供する。
「だいち」は県内全域の地表データを読みとれるほか、昼夜、天候を問わず観測できるレーダーを備えている。昨年9月の集中豪雨でも、夜間の観測で、熊野川の水面、川幅の変化を確認できた。氾らん地域の特定に応用できるという。
県の負担はデータ受信のためのパソコンとプリンター購入費230万円のみ。「だいち」は2006年1月に打ち上げ以来、さまざまな観測を続けてきたが、衛星画像を生かす現地データを求めており、双方の要望が合致した。中小規模の河川を対象に「だいち」の画像を利用した浸水被害予測図も試作する。
県河川課は「被災地の状況が適確に分かれば、限られたヘリコプターも有効に派遣できる。実践的な活用法を検証していきたい」と話している。協定期間は10年3月末までだが、適宜継続の方針。